水の基礎知識






  そして飲料水
カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300mg/L以下
性質・性状 生体必須元素(Caは0.7g/日必要)で、硬度はカルシウムとマギネシウムの総和(炭酸カルシウムに換算)のこと。含有量によって、硬水と呼ばれる。基準値は石鹸の泡立ちなどへの影響を防止する観点から定められている。日本の水道水の75%は50mh/L 以下である。
   軟 水 0〜60mg/L           硬 水 120〜180mg/L
   中程度の軟水 60〜120mg/L    極度な硬水 180mg/L 
主な汚染源 地質、廃水の中和・凝集処理・重金属類の沈殿除去等に石灰を使用した場合や、コンクリ−トからの溶出、海水や地下水の混入による。
影響・被害 味に影響(低いとタンパクで刻のない味、高いとしつこすぎる味)。
硬度が高いと石鹸の泡立ちが悪くなったり、胃腸を刺激して下痢を起こすことがある、スケ−ル(かん石)はボイラの熱伝導低下やパイプ閉塞の原因となる。
対策 ナノろ過、石灰軟化、晶析軟化、電気透析、逆浸透
有機物(全有機炭素(TOC)の量) 5mg/L以下
性質・性状 水中に存在する有機物に含まれる炭素の総量を全有機炭素(TOC)といい、
水中の有機濃度を示す指標として定められた。
主な汚染源 土壌由来やし尿、下水、工場廃水などの混入による。
影響・被害 一般的に、有機物が多ければ渋みがある。汚染された水ほど高い値になり、水質汚染の重要な指標になる。
対策 浄水器の取付、凝集沈殿、ろ過、膜ろ過、オゾン、活性炭、生物処理
一般細菌  基準値 100個/mL以下
性質・性状 水や土壌に生息している雑菌で、特定の条件で培養したときに、培地に集落を形成する細菌のことであり全ての細菌を表すものでわない。
主な汚染源 し尿、下水の混入。一般細菌として検出される細菌の多くは病原菌でわないが、汚染された水ほど多く検出される。
影響・被害 病原菌は通常と比較して、塩素消毒に対する抵抗力が弱いので、一般細菌を汚染の指標としている。
対策 煮沸消毒、塩素、オゾン、紫外線殺菌。
大腸菌  基準値 検出されないこと。
性質・性状 糞便汚染の指標としての信頼性を向上させるため大腸菌群が大腸菌に変更された。
主な汚染源 し尿、下水の混入。人や動物の腸内の生息する常在菌であり、その存在は糞便汚染の疑いを示す。
影響・被害 大部分の大腸菌は病原性を示さないが、ある一部の菌は腸管に感染して、下痢を主微とする急性の腸炎を起こす。
対策 煮沸消毒、塩素、オゾン、紫外線殺菌
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 基準値 100g/L以下
性質・性状 硝酸イオンや硝酸塩に含まれる窒素及び亜硝酸イオンや亜硝酸塩に含まれる窒素のこと。硝酸イオンは有機及び無機の窒素化合物の最終的酸化物である。亜硝酸態窒素は、水に混入したアンモニア態窒素が酸化されて生じる場合が多い、硝酸態窒素の還元によって生じる場合も多い。
主な汚染源 工場排水、農薬、窒素肥料、生活排水、し尿、腐敗した動植物の混入。
影響・被害 硝酸態窒素を多量に含む水を摂取した場合、体内で細菌により亜硝酸塩へと代謝される。
亜硝酸塩は血液中で赤血球のヘモグロビンと反応しメトヘモグロビンを生成し、呼吸酵素の働きを阻害するメトヘモグロビン血症を起こす。乳児(6ヶ月未満)への影響が大きい。
対策 イオン交換、逆浸透
鉄及びその化合物 基準値 0.3mg/L以下
性質・性状 生体必須元素(1日必要摂取量は10mg程度)で、基準値は味覚及び洗濯物への付着の観点から定められている。
主な汚染源 地質、鉱山排水や工場排水の混入、鉄管からの溶出による。
影響・被害 高濃度に含まれると着色(赤水)や異臭味(金属味、金気味、収れん味、苦味)を呈す。
お茶、コ−ヒ−、紅茶などが変色(タンニン鉄が生成)し、味が悪くなる。ほとんど無毒。
対策 空気酸化、塩素酸化、接触酸化、生物酸化
塩化物イオン 基準値 200mg/L以下
性質・性状 急激な増加は汚染の疑いの指標となり、基準値は味覚の観点から定められている。
食塩目標摂取量は10g/日以下。
主な汚染源 海水の浸透、風送塩、温泉の混入といった自然由来、下水・家庭排水・工場排水・し尿の混入による。
影響・被害 味に影響。鉄管の腐食を促進する。(腐食障害を防ぐには塩化物イオン50mg/L以下が望ましい)
対策 ナノろ過、イオン交換、電気透析、逆浸透
PH値  基準5.8〜8.6
性質・性状 PH7は中性で、これより値が大きくなるほどアルカリが強くなり、これより値が小さくなるほど酸性が強くなる。水道施設の腐食等を防止する観点から水質基準が決められている。
主な汚染源 貯水池では藻類が繁殖した場合にかなり強いアルカリ性となり、PH9〜10に達することもある。
井戸水やボ−リング水は水質の変化が少ないので、急激に酸性やアルカリ性に変化したら、
工場廃水や汚水などの混入が考えられる。
影響・被害 飲料水としては中性(PH 7 )付近にあることが望ましい。
水道施設の腐食が発生する。
対策 水源変更、アルカリもしくは酸処理、エアレ−ション
味  異常でないこと
性質・性状 水に溶存する物質の種類・濃度によって感じ方が異なる、亜鉛r等の無機イオンは収れん味を、
遊離炭酸は酸味を、無機塩類は塩味を、タンニンは苦味を与える。
主な汚染源 海水、下水、し尿、工場排水の混入、プランクトン、菌類の繁殖、地質の影響、凝集薬品の過剰注入、鉄分、亜鉛等の溶出による。
影響・被害 味と臭気は互いに関係することが多く、臭気のある水を口に含むと不快な味になるので、飲料水や生活用水には向かない。臭味が異常な場合は、水n汚染の可能性があり、飲料水としては不適であるばかりでなく、原因の追究と対策が必要である。
対策 浄水器の設置、活性炭処理
臭気  異常でないこと
性質・性状 水の臭気は、かび臭、生ぐさ臭、薬品性臭気、金属臭気に分類される。
主な汚染源 臭気は汚水の混入や藻類の繁殖、水の流れてきた地質によって生じる。
水道水において問題となる臭気物質は、藻類等の生物に起因するかび臭物質(2-MIB、ジェオスミン)や、
フェノ−ル等の有機化合物が主である。
影響・被害 井戸水では土やかびの臭いがすることがある。味と臭気は互いに関係することが多く、臭気のある水を口に含むと不快な味になるので、飲料水や生活用水には向かない。臭味が異常な場合は、水の汚染の可能性があり、飲料水としては不適であるばかりでなく、原因の追求と対策が必要である。
対策 浄水器の取付、曝気、生物処理及び緩速ろ過、オゾン、活性炭
色度  5度以下
性質・性状 色度とは、水中に含まれる溶解性及びコロイド性物質が呈する黄褐色の程度をいう。
主な汚染源 自然水が着色している原因は樹木などの植物が腐敗・分解される過程で生じるフミン質が主である。
給水栓水では溶出する金属によって、亜鉛では白色、徹さびでは赤色、マンガン酸化物では黒色、
銅では青色の着色現象が見られる。また、下水、汚水が混入することもある。
影響・被害 清澄な水は無色透明であるが、着色した水は健康に影響を及ぼすものが含まれている可能性がある。
対策 浄水器の取り付け、凝集沈殿、オゾン、塩素、粉末活性炭
濁度  2度以下
性質・性状 濁度とは、水の濁り具合をいう。
主な汚染源 地下水では、溶解している鉄。マンガンが大気と接触し、酸化し、酸化されて濁りを生じることがある。水道水では、水道管壁に付着した鉄錆などが剥離して濁りを生じることがある。
また、下水、汚水、土砂、薬品等が混入することもある。
影響・被害 清澄な水は無色透明であるが、濁度の高い水では、病原性微生物や水に存在する粒子に吸着された有害な無機物、有機物の中の健康に影響を及ぼすものが含まれている可能性がある。
特に水道原水にクリプトストジウム汚染源があると考えられる場合などは、慎重な処理・操作が必要となる。
対策 浄水器の取り付け、凝集沈殿ろ過
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